BLOG

ブログ

元号発表とともに

2019年4月1日
新元号となる「令和」が発表され、
2019年5月1日より新しい時代が幕を開けました。

その発表日となった2019年4月1日
作曲の山田玄紀(やまだはるき)君に連絡をして、
【令和】
という壮大なタイトルの作曲を依頼しました。

箏、十七絃箏、尺八というシンプルな編成で、
古典でもなく、現代曲でもなく、
和楽器の魅力、日本という国の魅力、
そして和楽器集団「鳳雛」の魅力が存分に感じられ、さらに【令和】が抜粋された、
「万葉集梅花の歌を取り入れた唄物」
でいきたい!という話からこの企画は始まりました。

話し合いを重ねながら、2019年の12月、
デモが完成し、その音源を聴いた時、
身震いをしたことを今でも覚えています。

見えない日々の中で

2020年となり、6月に和楽器集団「鳳雛」の15周年記念公演の企画を進め、奏者も揃え、会場もおさえ、リハーサル日程も細かく組み、
「さぁこれから!」
という時に、新型コロナウイルスの拡大により、公演の中止を決定いたしました。
何日も悩んだ苦渋の決断でした。

12年目となった教室も長期の休講となり、
数か月、これからどう生きていくかを悩んでいた最中、「配信での公演」を企画することにいたしました。

配信ならお客様が密になることはない・・・
とはいえ、奏者はリハーサルも重ねなければならない・・・
本番のホール会場も国や都、自治体の予防対策があり、場所もすんなり決められずに転々。

7月に公募された文化庁の支援策もなかなか決定しない中、見切り発車で事を進め、リハーサルを始めました。

久しぶりに集まって合奏をする中で、
皆で音を出せる喜びの半面、
どこか恐る恐る対策に協力していただきました。

なかなか規制が厳しかった管楽器も合流し、
皆で1つの作品に向かって行けたこと。

去年までは当たり前だった1つ1つの作業に、
感謝の念を抱く期間だったように思います。

15分を超え、変拍子で新作。
しかし暗譜(譜面を見ずに覚えて演奏すること)で臨むこととなり、より向き合う時間も増えていきました。

作曲の玄紀君は、私と2人で話す際に、
「暗譜大丈夫ですか?厳しくないですか?」
と本当に心配してくれていましたが、
私は毎回自信満々に、
「みんななら絶対大丈夫です!」
と答えていました。

もちろん暗譜で臨むことは多い皆さんですが、
・久しぶりのホールでの演奏
・普段経験しない無観客公演
・久しぶりの合奏の空気感
など様々な未経験の環境の中、
配信公演に尽力していただいた感謝の気持ちは、
生涯忘れられないと思います。

【令和】をデモで聴いた時の気持ちと、
コロナ禍で聴く【令和】は、
感じ取り方が変わってしまうのではないか。
と、毎日のように考えましたが、
そもそも
【聴く人によって感じ取り方が違う】
ことや、
【人それぞれ個性があって考え方が違う】
ことは、
本来当たり前の姿であり、
【令和】という曲に込める想いや、
裏テーマ(これは作曲者と演奏家のみで共有しております)の解釈をそれぞれしっかり持つという日々でした。

【令和】曲解説

ここで【令和】を作曲していただいた、
山田玄紀君の曲解説を記載させていただきます。

この曲は、春夏秋冬と再び巡る春からなる5つの部分で構成される、十三絃、十七絃、尺八のための合奏曲です。
令和という元号に込められた願いを題材にして作りました。

「悠久の歴史と香り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく、厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込めた」

令和の由来である、万葉集より「梅花歌三十二首」の序文

「時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、
梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。」

を歌にして、
未来への希望を込めた春。
生き生きと動きのある夏。
ゆったりと時が流れる秋。
冷たい風が吹きすさぶ厳しい寒さの冬。
序盤春の独唱から、合唱で希望を歌う再現部の春。

それぞれ独立した曲想でありながら、全体を通して1つの共通モチーフを散りばめた曲になっています。

これまで和楽器の音楽に触れる機会がなかった方にも聴きやすい曲になっていると思います。
春夏秋冬の移り変わりを、表現力豊かな和楽器の音色で楽しんでいただければ幸いです。

【令和】に込められた想い

2020年10月6日、
東京都内にある
「かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール」
にて、文化庁/芸術活動の継続支援事業の採択を受け、
【和楽器集団「鳳雛」15周年記念生配信特別公演】を披きました。

トークゲストに鈴木福さんを迎え、和楽器の解説もふまえながら、そしてこの環境下、お力添えをいただきましたスタッフの皆様に支えられ終演を迎えました。

【令和】という時代はまだ始まったばかりで、そのスタートは苦難に満ちたものとなりました。
この先、冬を迎え、春夏と四季が繰り返され、まだ見ぬ明日へと進んでまいります。

和楽器集団「鳳雛」の奏でる【令和】もその時代とともに、そして皆様とともに歩んでいけたらと考えております。
是非何かの折には、【令和】に込められた明日への想いに触れていただけましたら幸いです。

そして皆様の目の前で、【令和】を演奏出来る日を心より願っております。

前書きが長くなってしまい恐縮ですが、
下記リンクより和楽器集団「鳳雛」による【令和】をお楽しみください。

チャンネル登録、もしよろしければ高評価ボタン、そしてコメントもいただけますと幸いです。
【令和】の他にもオリジナル曲を中心にアップしておりますのでもしよろしければご覧ください。

【令和】YouTubeはこちらから

【令和】和楽器集団「鳳雛」
↑クリック・タップすると動画がご覧になれます。

和楽器集団「鳳雛」

作曲:山田玄紀
箏Ⅰ 1 平田紀子 2 安嶋三保子 3 江原優美香
箏Ⅱ 1 石田真奈美 2 山水美樹 3 池田和花奈
十七絃 1 日原暢子 2 石本かおり 3 藤重奈那子
尺八 1 松岡幸紀 2 樋口景山

和楽器集団「鳳雛」YouTubeチャンネル

向寒の候、皆様くれぐれもご自愛ください。

和楽器集団「鳳雛」
兒玉 文朋

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。