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「太鼓を打つ上で欠かせないものと言えば」

そう「バチ」です!

自分と太鼓を繋いでくれる大切なツール。

今日はそんな「バチ」を中心としたお話しを書きたいと思います。

太鼓の大きさや、自分の手の大きさ、どんな音を出したいか

などなど様々なシーンによって使い分け、

素材も樫(かし)や桧(ひのき)、朴(ほう)、メープル、竹など

それぞれ硬さが異なります。

そんな必要不可欠なバチですが、

稀に折れてしまったり、欠けてしまうこともあります。

値段は種類によって大きく異なりますが、

一組数百円のものから数千円のものまであります。

これは賛否両論なのですが、

鳳雛和太鼓教室では、入会時バチを一組無料でお渡しております。

「自分で買った方が愛着がわくのではないか」

「始めるにあたって初期費用が抑えられるのは嬉しい」

色々なお声をいただきますが、

開講当初から15年、ずっと続けています。

「もし自分が無料でバチをいただいたら・・・」

やはり大切に使わなければという想う方が多いかと思いますが、

ついついその気持ちを忘れてしまって、

粗雑に扱ってしまったり、手入れをせずに使用したりも見受けられます。

「器材は大切に扱う」

ということは口酸っぱく何度も何度も口にします。

精神論ぽくなってしまいますが、

「物を大切に出来ない人が、太鼓を上手に打てるわけない」

と常々思っています。

そしてそれは決して間違っていないと強く心にあります。

和太鼓本体もとても高価なものですし、

何も言わないと寄り掛かったり、

革の部分に物を置いてしまう人もたまに見かけます。

革は大切に扱えば何十年ともちますし、

張り直しや張替をすることで長く使用することが出来ます。

しかし手入れをしない欠けたバチや、

ささくれたバチで打ってしまうと、

太鼓は一気に傷が付き、

まだ音が成熟していない革を破いて穴を空けてしまうこともあります。

使い込んだり、傷がついたら新しい物を買う。

それも器材を大切にする上では必要な手段でもあります。

ただバチも木材。

限りある資源でもあります。

「その時が来るまで大切に手入れをして使う」

ということも大切だと思います。

プロでも趣味で打つ人も関係なく、

それが打つ人の心構えであり、

職人さんへの礼儀であり、

資源への礼節であると思います。

現代はネット社会で様々な情報を自分で簡易に入手することが出来ます。

バチの手入れ方法も色々なページにも記載されていますが、

中には少し難しい方法も載っていて、

「あぁ、めんどくさいからいいや・・・」

と思ってしまう人もいるかもしれません。

なので私なりの簡単に出来る手入れ方法を載せておきたいと思います。

用意するのは

「ペーパーやすり」

以上です!

ホームセンターなどに豊富に置いてあります。

その中で目が少し粗いものと、柔らかいキメが細かい物

2種類用意します。

いずれも何百円と購入出来ます。

樫バチが一組2000円だとして、長く使えれば絶対お得です!

太鼓のフチの部分などが当たると

こういった凹みや黒ずみが出てしまいます。

また木材ですので乾燥している時に使用すると、

一気に割れたり、ささくれのような状態になることがあります。

結構な勢いで割れてしまったりした場合は、

趣味でお稽古をされている方は、諦めて新しい物を購入されても良いかと思います。

割れた部分を取り除いてやすりをかけていくと、

結局その部分が細くなり、全体のバランスを均一にするために細かな作業が必要となります。

しかしそのまま使用すると間違いなく太鼓本体を傷つけることになってしまいます。

こまめにバチの様子を見て、割れなどはないかをチェックする癖をつけておくと良いかと思います。

さて、上記の凹みや黒ずみですが、この画像の程度なら1~2分で無くすことが可能です。

まず粗目の紙やすりで大まかにかけて、細目で仕上げをします。

*やすりをかける際に割れがあると手をケガしてしまう場合があるので、

割れが無いかを確認し、割れていない方から一方向にかけていくことをお勧めします*

*出来ればその部分だけでなく全体にも同じようにかけていくと、

どこかだけ細い・・・などを避けることができますので均一にかけると良いです*

*黒ずみをとりたい程度でしたらそこまで細くなりすぎることもないと思います*

1~2分だけかけたものです。ほぼ目立たなくなっているのが分かるかと思います。

*粗目だけでも黒ずみは落ちますが、必ず表面を滑らかに仕上げるために

細目のやすりで仕上げを行い、けば立ちが無くなるようにしてください*

お次はこちら。

かなり汚れや凹みが目立っています。

数年手入れをほとんどせずに使用していたものです。

しかし同じ方法で丁寧に手入れを行うと・・・

全く気にならない程度まで回復させることが出来ます。

*画像は一切加工しておりません*

*木目を見ていただければ分かるかと思いますが、同じものです*

↑画像の一番下の一本が手入れ前のバチです。

それ以外が手入れ後のものです。

すべてに先ほどの凹みや黒ずみがありましたが、数十分でここまで可能です。

こうして手入れをしたバチは、教室の無料体験用として使用したり、

単発のワークショップで使用したり、

手入れで太さが変わってしまう場合は、

更に加工してテーパー(持ち手の方が太く先にいくにつれ細くなる)バチとして使用します。

和楽器は特にその日の温度や湿度、照明や人の入りなどの状態によって

音の響きや鳴りが大きく変化する、とても繊細なものです。

和太鼓の場合、バチの重さや、走りに気を配ることで、音色もまた変わります。

「なぜ手入れが必要なのか」

「することによってどうなるのか」

それは器材を大切に扱う、という単純な理由に込められた、

感謝や礼節、そして何より自分のためになるということだと私は思います。

その大切に想う気持ちは必ず自分にかえってきます。

人も、音楽も、仕事も、きっとそうだと思います。

ご多忙の方も多いかと存じますが、

身近な感謝を忘れずに、くれぐれもご自愛ください。

和楽器集団「鳳雛」

鳳雛和太鼓教室

兒玉 文朋

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